漢方毒舌小話 其の五「本当の科学をさまたげるものとは…。」
これまでの、毒舌小話をお読みくださった方は、当方が科学を否定的に捉えていると感じられるかもしれませんが、そうではありません。
伝統漢方から少し離れますが、真の科学はゆるぎない法則であり、絶対真実のようなものです。
この真実を追究するのが科学です。
人間は科学を追及し、すべての謎を解き明かさなければなりません。(それが幸福につながるかどうかは、わかりませんが…)
そして、この科学という絶対真実は完璧な物でなければなりません。
「想定外」などという言葉はありません。
つまり「科学的に検証する」ということも、それ自体に間違いがあってはいけないのです。
「科学的に検証する」という言葉を聞くと、ほとんどの方は、これ以上信用できるものは無いと感じますが、原発安全神話は、まさに「科学的に検証され安全」と結論づけられて確立された思想です。
しかし、これは大きな間違いだったことが証明されています。
つまり、この「科学的に検証された」と考えたこと自体が間違い(嘘だった…かも?)だった。原発安全神話は、全く科学的で無かったことが露呈したと言うことです。
現在も世の中の論調は、「科学的に安全性が検証されることが大事」と連呼されていますが、正確に「科学」を理解しているのなら、今の科学レベルでは、原発が完全に安全であることなど、ありえないことがすぐにわかるはずです。
原発を真に安全なものにするためには、放射能を分解して無害にする装置でも無い限り不可能です。(宇宙戦艦ヤマトではありませんが…)
では、なぜ未だに実際には不可能な安全性を全面に打ち出し、なんとか稼動させようとしているのでしょうか。
それはすべて財(経済)のためです。
経済を優先させるため、安全であると信じたい気持ち(バイアス)が生じるのです。
現代社会は、「科学」という言葉を隠れ蓑に使って、問題の本質を考える思考回路を止める力が強く働いているようにみえます。
では、そのようなことが起こる原因は何故なのでしょうか?
伝統漢方の木(肝)、火(心)、土(脾、胃)、金(肺)、水(腎)の五行説は、一般的には相生相克説の五行配当が知られていますが、「素問」などでは、「土」を中心にした土王説の五行配当があります。土王説は「土」が他の四行(四臓)よりも重要でありことを示し、他の四行(四臓)すべてに通じて影響を与えていると考えています。また、季節の暦において土用は4つあり(特に夏から秋にかけての土用が有名ですが…)四季すべてをつなぐのに必ず必要な時期にあたります。
「土」は、人体でいえば「脾(胃、腸)」にあたりこれは「黄土」であり「中央」であり、「財」を意味します。(「黄色い財布はお金が貯まる」はここから来ています。)
つまり、「財(経済)」はすべてに通じていると言うことです。
これは、「財」無くて人間の日常生活は維持できないことを暗示しています。
人間は、基本的に食物を取り入れる胃腸関係が全く役に立たなかったり、食糧が全くなければ、生きていくことはできません。食料を作り出す「土」(大地)や食料を手に入れるための「財」がなければ、生きていくことができません。
この、「財(経済)」のため科学は常にバイアスをかけられ、また、「財」のために科学を隠れ蓑に利用する人々が多くいると言うことです。
真の科学は常に「偽りの無い事実」でなければなりません。
人間の生に対する執着と欲望の本能に直結している経済(財)の力は、理性の目を曇らせ、安全神話の幻想を抱かせ「偽りの無い事実」であるはずの科学の目をも曇らせるのです。
なにせ、「財」がなければ生きていけないのですから…。
「捨己為人」「己をすてる」という言葉があります。
科学者には、常に、「己をすてて真実に向き合う力」を持ってもらいたいものです。