2006年 O-157について
つい最近O-157が、また新聞をにぎわしました。感染経路の特定に注目が集まっていましたが、医療関係者の間では、外部と完全に遮断しない限り菌の感染を防ぐ完全な方法など実際にはないのが常識です。問題なのはO-157に感染したことよりも、O-157に支配されてしまった腸内環境や免疫力の低下のほうが問題なのです。実際、過去のO-157で重症になった人と軽症ですんだ人の差は腸内環境の良し悪しに非常に影響されたと言われています。(最も重症になった人は下痢しているので止瀉薬で下痢を止めた方です{下痢は免疫反応の一つ}死亡した人も一番多かった。)O-157は感染力が強いのですが、抗生物質の効かないMRSAなどと同じで免疫力のある人が感染しても発病しませんし、症状が出ても非常に軽い場合がほとんどです。免疫の弱った人や腸内環境の悪い人が死に至ったわけです。抗菌グッズが流行ったりしたことがありますが、菌を殺すことよりも菌に負けない体になることの方がずっと大切なのです。(実際、抗菌グッズはNGO団体の「食と暮らしの安全基金」の出版物でも安全性の確認されていない物として使用しない方がよいとされています。)消毒や抗菌剤で菌を殺す。確かに一時的にはよいのですが、微生物は進化します。現在、インフルエンザの特効薬であるタミフルにも耐性ウイルスが出て来ているのですが、日本で全世界の使用量の80%を消費していますので、(耐性菌出現は使用量に比例する)非常に心配です。(これは、数年まえインフルエンザにかかった人に死者が多くでた事による、インフルエンザ恐怖症もあるかと思うのですが、その死因のほとんどは、解熱剤の不適切使用による脳炎であり、インフルエンザ自身が原因のものは非常に少なかったと言われています。)また、副作用の問題も出てきているようです。
悪いものが出てきたら、それを徹底的にたたき殺す。これは西洋的考えで、西洋医学の主流にもなっているのですが、この方法は耐性菌発生などの原理を見てもすでに限界が見えているのです。(イラク戦争におけるテロも同じです。)どんな微生物(細菌など)とも共に生きる。ガン細胞があっても、死なない程度に共存する。今必要とされていることは、たたく、殺す、せん滅する治療ではなく協調と調和とバランスの治療すなわち東洋医学的考え方が必要とされて来ていると思います。消毒の徹底や菌を殺すことに重きを置くのではなく(逆に消毒剤の毒性や環境汚染が心配)、菌に負けない免疫力、抵抗力のある元気な体づくりをすることが大切なのではないでしょうか。