2012年5月 「年寄りの冷や水」の水は隅田川の水?
東京スカイツリーが開業しました。
そのスカイツリーのそばを流れるのが隅田川です。
インターネットでは、江戸時代にこの隅田川の不衛生な水を飲むことが「年寄りの冷や水」との情報が多く見受けられます。
この「冷や水」の隅田川説は、2002年当時の東京都水道局のホームページに掲載されていたようです。また、2007年5月には、某放送局の健康情報番組でもこの説が紹介されています。しかし、リニューアルされた現在の東京都水道局のホームページではこの記述は確認できず、この情報の出展元は見つけることは出来ませんでした。
ちなみに、信頼できる情報として、年寄(としより)の冷水(ひやみず)」に関しては『岩波ことわざ辞典』(2000年)の著者、時田昌瑞氏は、『岩波いろはカルタ辞典』(2004年)の中で、原意については年寄が冷水を飲むことだか、昭和40年代に「冷水」を水浴びすることと解釈し始めたと述べています。また「故事ことわざ辞典」では「年寄りが強がって冷たい水を浴びたり飲んだりしたりして無理をすること。自分の年齢も考えず無茶をすることは健康に良くないことから、それを自虐的に言ったり周りがたしなめたりするときに使う」ことだそうです。
「年寄りの冷や水」はことわざとして、江戸いろはかるたでも登場し、直木賞作家で「いろはかるた研究家」でもある森田誠吾氏と滴翠美術館副館長(当時)山口格太郎氏、作家の村井省三氏が中心に構成した、平凡社の1974年11月25日発行の「別冊太陽第9号 いろはかるた」12ページの「と」の項で、東「としよりの ひやみづ」の「ひや水」は、飲料水の水質の良くなかった江戸では数少ない良質の井戸水として、年寄りが水を買って飲んでいる古い「いろはかるた」の図案と共に紹介されています。
漢方の本場中国では、年寄りで無くても冷たい物は万病の元と考えられており、決して冷たい物を食べませんでした。(最近の経済発達や、日本のコンビニ文化の進出により若者は冷食をするようになって来ている様です。)特に漢方の中医師は、温かくない普通の弁当でさえ口にしない程です。
どちらにせよ、1970年代の日本人の常識にも「冷たい水」は体に良くないとの認識があったことは間違いありません。
1970年当時と比べ、圧倒的に増えている病気「アレルギー性鼻炎」「アトピー性皮膚炎」「癌」「不妊」その他…は、漢方的には、「冷食、冷飲」がその大きな原因と認識されています。
皆さんも、今一度食生活の最も重要な所を見直してみませんか?