漢方毒舌小話 其の一「漢方は科学ではない。」
まず最初に、知っておかなければいけないことは「漢方は科学ではない。」という基本事実です。
(日本では、18世紀初頭より漢方の科学化が試みられており、ここでは3000年以上の歴史を持つ古来からの伝統的漢方について述べております。)
漢方は、学問としては「治療学」であり、突き詰めれば「人間学」です。
現代は科学こそすべての学問の中で最も信頼できるとの科学礼賛の風潮が強いのですが、科学は基本的に、現在そこに存在する結果の分析を細かく行い、分析によりわかった事実を応用して、新しい技術を作り出しているのに過ぎないことを忘れてはいけません。
つまり、これは分析されていない事実がある限り、正しい結果を導き出せるとは限らないことも忘れてはいけません。
ある、事実を一方向から見た場合それが正しくとも、別の方向から見ると全く正しくないことが多々あるのです。
実際に、漢方の講師の方々からは「高学歴の理系の人は、漢方の使用方法の上達が非常に遅い。」との話をよく聞きます。
漢方を科学することは大いに賛成ですが、漢方の治療法について現代レベルの科学を持ち込むと大きな過ちを犯します。
漢方を創った張仲景や李東垣などの大家の先人たちは、科学のことなど念頭には置いていません。
あくまで治療法として開発したのです。
ゆえに科学的な思考回路では作られていませんし、使用法もそのようにできているのです。漢方を考える時は、思考回路を漢方語に切り替えなくてはなりません。
漢方は漢方語で考え使用しなければ、誤った使用ばかりをしてしまいます。
当店は、科学のための医療ではなく、人のための医療をめざしております。