2018年4月 【第三話】現代医学的思考と漢方的思考
■第三話:現代医学的思考と漢方的思考■
紀元前300年頃のギリシャの医学は、ヒポクラテスの医学、すなわちプラトンの観念論を基にした教義学派のコス派の医学と、それに対抗するアリストテレスの客観的自然哲学を基にした経験学派のクニドス派の医学が、ライバルとして存在しました。
クニドス派の医学は、病気をくわしく分類し、身体のどこがどんな病気に罹ったかを特定して治療する方法。すなわち、診断で病名を特定し、それに対する治療を行うという現代西洋医学とほぼ同じ考え方の治療方法でした。
現代西洋医学的思想は、この時代にすでに始まっていました。
ギリシャ時代には、特にコス派とクニドス派の二大流派が治療を競い合っていましたが、当時は自然治癒力を重視するコス派の治療成績がクニドス派に勝っていました。
東洋の医学である漢方は、このコス派の自然治癒力を重視した考え方を現代まで伝えてきたのです。(ただし漢方も、その後の西洋医学の影響を大きく受けた流派が多くあり注意が必要です。)
では、現代の西洋医学はなぜ、クニドス派の思想が中心となったのでしょうか。