2011年8月 熱中症の予防は冷たい水?

今年も、熱中症に沢山の方が罹っています。

一部専門家や某放送局では、深部体温を下げたいためか、予防で盛んに冷たい水を取れとの情報を流しています。
しかし、体の弱い方が予防のつもりで冷たい水を摂り過ぎることは大変に危険です。
少しの量なら良いのですが、続けて冷たい水、とくに井戸水より冷たい水を継続的に取り続けることは、その人の内臓の血流を悪くし、内臓の熱を逃がしにくくさせるだけでなく、代謝をおとし、エネルギーを奪います。
結果、体力を落とし外からの強い暑熱に負けて逆に熱中症に罹りやすくなります。
昔の人も「年寄りの冷や水」(この水は井戸水の温度の水を指します。)ということわざで戒めています。

基本的に熱中症に罹りやすい方は、体質的に深部体温の低い(血流が悪く代謝が良くない)お年寄りです。(重症の熱中症や熱射病発症時には深部体温も高くなりますが、普段は低いと考えられます)
また、漢方的には稚陰稚陽で体温調節の未熟な、深部体温が外気の影響を受けやすい子供に多いようです。(この場合は深部体温が上がりやすく、漢方的には陰虚状態になり重症化しやすいと思われます)

体温調整のうまく出来ない幼児を除き、冷たい水は、熱射病や熱中症になった場合以外はさけましょう。

日本より気象条件が、はるかに過酷な中東やインド、中国で暑い中、暑いお茶を飲んでいますが熱中症になりやすいことはありません。
昔から行われている知恵を無視し一部の現象を誇大に拡大して解釈することは本当の科学ではありません。
科学というものは、一見合理的で間違いが無いように思えますが、原発事故の例を見るように根本的な間違いを犯していることが多々あります。
人間の体は我々が考えているほど単純ではなく大変精巧に出来ており、自然の理に適ったものだと思います。