2010年7月 熱中症の予防について。(日(熱)射病をのぞく)

今年の夏は、大変暑く熱中症で沢山の方が亡くなられています。
熱中症にかかられた方をみると、熱中症になり始めの症状は漢方的には、「陽虚」のような症状を起こしている方が多く見られます。
「陽虚」すなわち体の温かさが足らないと言う事です。
「エー!体温がこんなに高くなるのに冷えている?」これはどういうことなのでしょうか?

人間は、暑くなると体表に血液が集まり皮毛を開いて、汗をかき体温を冷やそうとします。この状態が極端に進むと内臓は虚血状態になり結果、内臓の深部は冷えている状態と同じようになってしまうと考えられます。(夏ばても似たような状態です。)
これにより体の抵抗力が落ちて、体温などの調整力が無くなっている所に、外からの体を傷つける暑さ(暑邪)が入り込み、内部の体温を異常に上げて臓器を痛め熱中症になると考えられます。

この様な状態を防ぐためには、普段は「内部は温める。外は適度に冷やす。」ということが大切です。

普段から、内部を温めるには
1. 冷たい食べ物はあまりとらない。水分補給は、出来るだけ体温以上のお茶や  体を温める塩分とミネラルを含んだ水分をこまめにとる。(味噌汁や、普段は血圧に良くないといわれる温かいうどんやラーメンの汁も適量だと良いと思います)
2. 冷たい冷麦などは、内臓を温める生姜やネギを加えて食べる。
3. お風呂に入って、半身浴をする。(夏場シャワーだけの方がいますが、体の中まで温まりません。体の内部を温め体表に偏っている血液を内臓に戻すことが大切です。)

夏場は半身浴をはじめやすい季節です、38度~39度位のお湯で、おへそ位の高さまでつかり、疲れない程度に汗が出るまで行いましょう。美肌効果もあります。

漢方を利用すれば、更に体内を温め、夏ばてなども防ぐことができます。

熱中症になりやすい方は、お年寄りと子供です。
お年寄りは、普段から陽気の足らない状態の方が多く、冷房が嫌いで、昼間でも咽喉があまり乾かず水分を欲しがらない状態にあります。また、子供は、漢方で言う「稚陰稚陽」(陰も陽も幼い)で、短時間に極端な陽虚や陰虚の状態になります。

水分摂取の時、特に注意して頂きたいのが、冷たい水のがぶ飲みです。
元々、体内の陽気不足の方や、陽気の幼い方が極端に冷たい水分を一度に沢山とると、逆に熱中症を起こしやすくなる可能性があります。

中国三大火釜(重慶・武漢・南京)やインドなどは日中の気温が40度を軽く越えます。そこで食べられている食事を参考にすると良いでしょう。